少しためになるスパイスの話【その15】


少しためになるスパイスの話

第15回「ガラムマサラ


今回はミックススパイス「ガラムマサラ」について。スーパーに行けば、ほぼ必ず棚に並んでいるくらいメジャーになりました。おうちのカレーに本格的な香りをプラスする万能スパイスとして使ってる方も多いのではないでしょうか。


配合は人それぞれ、千差万別、定義はありません。カレーのスパイス配合もまさにそうですが、だから個性が出て面白いなと感じます。大手メーカーの商品も、それぞれ配合が違うので、香りが微妙に違います。比べてみると面白いですよ。


ローストしたり香りを濃くしたり、ブレンドして寝かせてまろやかな香りにしたり、辛みを持たせたり、辛みを抑えて香りを重ねたり、様々な役割を担います。カレーに入れるタイミングを最終仕上げの段階にすることで、フレッシュな香りを残すことが多いです。


ガラムマサラに使うスパイスは、けっして珍しい物ではないです。コリアンダー、クミン、カルダモン、クローブ、シナモンなどなど。カレーに使うスパイスとほぼ同じです。同じなんですが、入れると香りが明らかに変わります。ガラムマサラに使うスパイスの量を、カレー作るときにただ増やせばいいのでは?と思ってもおかしくないのですが、全然違うんです。本当に面白いです。とは言いながらも、自分自身ガラムマサラの素晴らしさに気づいたのは割と最近です。それまでは、あまりガラムマサラを必要とする場面がありませんでした。


濃厚なうま味のカレーを作ろうとした時のことです。素材の旨味が強いほど、スパイスが負けてしまいバランスを取ることが難しくなりました。油分が多いと辛みも奥に隠れてしまい、パンチに欠けてしまいます。濃厚ながらスパイシーなカレーにすべく試行錯誤し、うまくいかず悩んでいた時に、ふとスーパーに行きました。これといって用はないのですが、ただふらふらするために。試作で息詰まると、僕はよくスーパーに行きます。並んでいる食材や調味料を見て、ふとひらめくときがあるからです。その時も思いがけないヒントがある気がして、気晴らしもかねて行きました。


お肉や魚、野菜を眺めたり。旬の食材でカレー作りたいなー、この食材にはこのスパイスをメインで合わせたらおいしそうだなーなどと思いを馳せています。スパイスコーナーが現れると、悩んでいるときはちょっとウっとなります。気乗りしないなーと渋々見ていると、ガラムマサラが目に入り、そういえばガラムマサラ使ったことないなとなり、買ってみました。それまでは、ガラムマサラを使うのはちょっと反則、みたいなイメージを持っていました。自分でスパイスを配合しているのに最後に人がブレンドしたスパイスを使うことは、料理をめちゃくちゃ拘りに拘って作り、最後に味の素で味を決めるようなものだ、大げさに言えばそんなイメージでした。決して味の素を否定しているわけではありません。味の素は素晴らしいものです。今作っている料理すべて、長い歴史の中で進化してきたものを真似てアレンジしているようなものです。ガラムマサラに反則だなんて、今思うととんでもないことですが。そして、ガラムマサラ入れたら、解決しました。ショッキングでした。考えた人はすごいです。仕上げに入れるだけ。濃厚でスパイシー。うまい。


それからというもの、自分のガラムマサラの配合を決めて、しらべでは「おうちスパイス」として使用しています。ディナーセットで現在お出ししている「鶏のスパイス照り焼き」は、このおうちスパイスを使っています。鶏のうま味と醤油の香ばしさにおうちスパイスの重厚な香りが乗って、少しフライドチキンにも似た香りも感じ、すごくおいしいです。ディナーでご来店の際は、ぜひお試しください。お待ちしています。



では、また。

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